No.0011:交渉力
2015.04.12

 自分が何かを買いたい時、もしくは売りたい時、少しでも自分にとって優位な条件で売買したいと思うことは、当たり前のことです。そんな時に非常に重要になるのが交渉力です。ただ残念なことに得てして思い通りにならないのが交渉の難しいところです。それでは、どんな場合に交渉力を失ってしまうのか?マイケル・ポーターという米国の経営学者の話をもとに考えてみました。

オンリーユー、つまり依存している状態
 売上の多くを、ある特定のお客さんに依存している場合、そのお客さんが買ってくれなくなりますと経営に対するインパクトは絶大です。例えば、売上の半分を、あるお客さんに頼っていて、それをお客さんもどことなく分かっている場合「もう少し安くしてくれない?ダメなら他に頼むからいいけど・・・」とか、こちらが依存しているのをいいことに足元見られてしまいます。で「勉強してきます!」とか言って利益を削って売上を優先してしまったりします。私にもかつて、このような苦い経験があります。高飛車な女性の手の平の上で転がされている哀れな男みたいに。難しいことかもですが「それでは仕方ないですね」を言える強さを持っていたいものです。

商品が尖っていない
 商品やサービスがありきたりで、ライバルと比較して特徴が見いだせない場合、競争の基準が価格の安さにだけってことで血みどろの競争になってしまいます。お客さんから「A社の価格は1000円なんだけど、もう少し価格、何とかならない?」と言われた時、「確かにA社は安いですけど、当社の商品には・・・な強みがありますので、必ずしも価格だけで判断するのは、いかがなものかと考えます。」と答えられるように商品力をつけておきたいものです。そういうふうに胸を張って答えられるように商品を差別化できると価格だけの競争からサヨナラできます。

嫌なら自分でやるから、いいわ
 「こんなに高いの?」とか「クオリティ低くない?」ってお客さんから言われた挙げ句「だったら自分でやるから、いいわ」とか言われたらショック大きいです。そんなワケで時としてプライドを、売上を、極めて小さな利益を、守るために不利な条件を飲まされてしまったりします。僕はプロなんだ!みたいなことで。

お客さんがお客さんのお客さんへの影響力がある
 例えばスマホを作っている電機メーカがある電気屋に商品を卸していたとして、その電気屋のスマホの販売力が絶大で、その電気屋が「当店のイチオシ」みたいなことでアピールしてもらえると商品力にもよりますが、販売量は恐らく格段に伸びることでしょう。そんなで電気屋さんから「おたくの商品の販売数を握っているのは僕たちなんで安く卸してくれますよね?」って言われたら返す言葉に困ってしまいますよね。昨今、メーカーから小売りに主導権が移ったと言われる所以は、こんな事情によるもののようです。

お客さんが儲かっていない
 お客さんが儲かっていれば価格について、さほど執着しませんので商品力を磨くことに集中できます。一方、反対の場合、お客さんに余裕がありませんので可能な限り安さを求められることになります。そういった状況を逆手にとって成長したのがデフレの勝ち組と言われていた牛丼店です。最近は景気の回復と供に、必ずしも業績は芳しくないようですが。その一方で富裕層向けビジネスという言葉を耳にする機会が増えたように感じます。


東西冷戦の終わりを宣言したマルタ会談
 いかがでしたでしょうか?皆さんが売買する時に知らず知らずのうちに経験していることもあったのではないかと思います。私は起業した今、交渉力を持つべく、どんなふうに商品を価格競争に巻き込まれることなく、価値を見出せるのか?模索しているような毎日です。そんな私の憧れは、私がノマドの原点だと考えているモンゴル帝国の「機動力」のような他者(社)を圧倒する強さです。そのような 強さを求めて厳しくも楽しい試行錯誤を一生、続けていけたら幸福なのかな?と考えています。
交渉力を感じるrolling stonesのUnder My Thumb