No.0040:選択〜今ここで一体、何をしたらいいのだろう?
2017.03.26 

  自分が置かれている今、この状況で、一体、何をしたら、今の自分、いや、これからの自分にとって、最もうまいことになるんだろう?と考えて、今こんなことしていている場合なんだんろうか???もっと他にやることがあるはずなのに・・・目の前の小さな獲物に夢中になって本来やるべきことに手が回っていないのでは?と不安を感じてしまうことが、かつての私にはありました。 

 不自由なく生活するには最低限いくら必要なのか?を理解した上で、生活に必要なお金を稼ぐ時間を極力セーブし、本当に大切なこと、それを行うことが今後の自分の人生にとって大きな意味を与えるだろうことに、より多くの時間を割り当てていきたいものです。そして生活するための時間から解放され、つまり、そういった時間をゼロにして、与えられている100%の時間を自分の大切なことのために費やし、そこから十分な収入を得られるようにしてくことが素敵だと考えています。 

 重要度と緊急度を掛けあわせた座標平面図において、私は②の緊急度は高いが、それほど重要ではないことに縛られていると随分と前から感じていました。急がされている、だから早くやらないと!そんな焦りから必死になって片付けても、同じようなことが次から次に押し寄せてきて・・・。底に穴の空いた船の上で、必死になって幾度も幾度も外に水を掻き出しても全く水位が下がらない笑えない状況のように(この場合は、命に関わりますので重要度は極めて高いですが・・・)。

 私が一番大切にしたいのは④の部分です。重要ではありますが、さして急ぎではないことです。私はなかなか、この部分に取り組むことが出来ていませんでした。もう少ししたら、始めよう、まだ今はその時ではない、とか自分に言い訳をして、時間に余裕のある時でさえ、③の重要でも緊急でもない、簡単に出来るストレスのないことへの対応に逃げ込んでいたりもしました。そんなワケで重要なことを先延ばしにする傾向がありました。忙しいサラリーマンが楽しみは定年退職後に!とか言っておきながら、いざその時がきたところで、実行されることのない楽しみみたいに。

 重要ではない急がされていることに目一杯で、重要なことがおろそかになる人生って違うと強く意識するようにしています。重要ではない急がされていることを減らしていくには、短期的な収入の減少や、人間関係の悪化を伴うこともあるかもしれません。さらに重要なことを優先するためには、決断のための勇気、暫くは成果の現れない辛い不安な時間を伴います。それでも必ず訪れることになる人生の最後の日に、やりきった、まーまーだったな、と思えるようにするためには避けて通れない道です。

 最近、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット氏のThe Goalという、制約条件の理論(簡単にいうと全体の生産性は最も生産性の低い部分によって決まること)を説明した本を約10年ぶりに読み返しました。会社の設定するGoalつまり目的は時にズレていることもある、例えば会社の目的は個別のコスト削減ではなく、会社全体の利益最大化で、そこのところを勘違いしていて部分の過度なコスト低減が全体の利益を奪っている、そんなややこしい事情を抱えた話でした。 状況が日々変化する中、会社全体を考慮することなく、極めて狭い自分やチーム(部分)の都合だけによって自分たちの目的、役割を決めることは、場合によっては会社全体の利益を損なう、何となく、どこにでもあるような話のような気がしました。そこで必要とされるのは、自分やチームの狭い範囲の中だけで自分たちが正しいと思うことを追究するのではなく、自分が属している会社全体のために自分は何ができるのか?ということを、強く意識し、必要であれば過去を捨て、新たな自分の役割を設定して行動していく「選択」ができているか?ということです。

 カンバンで有名なトヨタ生産方式を確立した大野耐一という方がいます。今、カンバンと言えば、尊敬のまなざしということでしょうが、それを広めていく過程ではいろいろとご苦労があり、例えば社内の厄介者みたいなことで疎んじられていたことが多かったようです。ウザい、頼むから余計なことは勘弁してくれ、そんな批判・偏見に過度に反応することなく、幅広い視野を持ちながら自分の選択した正しさを信じ貫き通した彼の意思の強さに憧れます。

個々の能率より全体の能率を考えよ
大野耐一  
部分が全体を高めているsonic youth