No.0031:To be or not to be〜やるか、やらないか 
2016.06.21

 標題はシェイクスピアの悲劇「ハムレット」での自分の父を毒殺した王に復讐するか、それを行うことなく屈辱に耐えつつ生きていくか?の選択に迷いに迷いまくった時の主人公のセリフです。自分の死や世間体への恐怖、権力者の傲慢・不正への怒り、など多くの観点から思い悩み、選択に迷っていました。復讐というと、きなくさい、なので、そこは置いとくとして今回は「やるか、やらないか」に焦点をあててみたいと思います。

 シェイクスピアの生まれた英国では今、EUから「出ていくか、留まるか」で大騒ぎになっています。ブレグジット(Britain「英国」とExit「出る」とを組み合わせた造語)。今朝の朝刊で どうして離脱?の理由として「一国なら良くなる。まず自国から」と「昔は良かった」といった自己中心的な短絡な思いが、出ていきたい人たちにあるとフランスの思想家ジャック・アタリ氏が指摘していました。本質だと私は感じました。上手くいかないことの責任を他に押しつけて、昔は良かった、そうだ、もう一度あの頃に戻ろう!なんて・・・。特にかつての強い頃の英国の記憶が色濃く残っている高齢者層に多い傾向のようです。いち早く産業革命を成し遂げたことで国力を増し築いた植民地支配や第二次世界大戦の戦勝国としてのプライドが寛容を妨げているとしたら、とても残念なことです。英国を取り巻く環境はがらっと変わってしまっている、つまり他が自力をつけたことで英国の優位性はとうに失われていることを、もっと、もっと、認識してもいいように思います。過去の戦いの繰り返しへの反省による統合(EU)が偏狭なナショナリズムによって壊されないことを願うばかりです。

 システムを作る仕事をしていると「やるか、やらないか」の判断に迷うことが少なくありません。時に 部分としては良いことかもしれませんが、全体としては効果が小さい、下手すると全体としてはマイナス、でもやってしまったことがあります。部分に属している方のアピールが妙に上手かったり、発言力が大きかったりで、内心おかしいな?と感じる方も少なくない中、反論できずに進んでしまったりします。そんな反省から「反論するか?だまっているか?」悩んだときは、勇気を出して、分かりやすく共感を得られる意見ができる自分でありたいと考えるようになりました。

 「やるべき」なのですが、臆病や怠慢によってやらない、またその理由を見つけて自らを正当化する、私にはたくさん、そんな経験があります。例えば、海外に商機を見いだすために英語を話せるようにならないといけないのですが、普段の忙しさにかまけて、努力を怠り、遅々として私の英語力は向上しませんでした。 短期の利に執着して、長期に目をつむることは、徐々にかつ静かに衰えていることだと自分に言い聞かせプレスをかけています。

 最後に私は今、あるサービスを創っています。長い間、やってみたいと密かに想っていたことです。「やるか、やらないか」ずっと迷っていました。最近、 使い古された言葉で表現すると人生一度っきりなので「やる」選択をしました。そんな中、ワクワクする気持ちと、時として今、自分が創ろうとしていることは受け容れてもらえるだろうか?と強烈な不安に襲われることもあります。今までのように確実にお金になることをしていた方が楽じゃない?ってもう一人の自分が問いかけてきたりします。そんな時、私はある言葉を思い出すことで、ちょっとした安らぎを感じることができます。

ノスタルジーに惑わされるな、自分のすることを愛せ。
映画「ニューシネマパラダイス」より
トムヨーク&BECK:過去との別れの曲
(原曲:velvet underground)