No.0030:ラッダイト運動〜今のままでいいじゃん!
2016.05.27

  ラッダイト運動とは、イギリス産業革命の機械化によって職を奪われる不安に駆られた労働者による機械破壊運動です。変わることで食いっぱぐれる、冗談じゃない、オレたちの安定を奪う機械なんてぶっ壊してやる!って怒りの声がきこえてきそうです。そんなラッダイト運動の現代(未来)の例えとしてビッグデータ(大量のデータ)をAI(人工知能)で解析するシステムを備えたロボットの知性が人間を超えたとき(このタイミングはシンギュラリティと呼ばれています)、ロボットによって多くの人間の職が奪われるなんてことが予測されています。例えば商品に対するお客様相談窓口の対応が、過去のお客さんと係員のやりとりや、ブログ、Facebook、twitterの書き込み、流行、ニュース等々といった関連する莫大な情報を解析し、ロボットが学習することで、人手が不要になるかもしれません。そんなことでロボットに職を奪われる不安を感じる方が今後、増えていくように思います。ひょっとしたらロボットをハンマーでたたき割る動画がYouTubeで人気になるかもしれません。 

  じゃ、変化を拒否して今のままでいいのか?というと、それが避けられないことは歴史を鑑みると明らかです。例えば鎖国によって近代化が遅れた日本は、産業革命によって圧倒的な国力を蓄えた欧米列強の後塵を拝することで関税の税率を自ら決められない、日本で犯した外国人の罪を自国で裁けない、といったエーッな信じがたい不平等な条約を結ばされました(明治維新に向けた良いきっかけだっだのかもですが)。進んでいるもの、ことが、相対的に遅れている、それをのみこむ、競争社会。良いか悪いかは別にして、過去も、今も、これからも、そのような仕組みは基本的に変わらないだろうと私は思っています。

 今朝の日経新聞で個人の空いている車や時間を利用して既存タクシーの半額ほどの料金で人を乗せるサービスを展開するウーバーの日本での苦労の話が報じられていました。サービスを提供出来るのは過疎が深刻な一部の地域のみに限定され、さらに日々の運行実績を市に報告する義務が課せられたそうです。そんな足かせが課された要因として大手タクシー会社の圧力の影響もあったのでは?とか書かれていました。規制に守られた既成によって、新たな可能性が、利便性が、犠牲になるのは非常に残念です。とはいえ素晴らしい圧倒的な仕組みを持っていますので、今後の展開がとても楽しみです。

 アメリカの大統領選挙でドナルドトランプ氏が共和党の大統領候補に選ばれました。 深く考えようとしない不満を抱えた人たちに、手っ取り早く不満の根源はこいつだ!みたいにイケニエを見つけて叩くことで支持を得ているように感じます。そのような方法で今まで苦労して変わってきたことを否定することで、かつての古き良き?時代に戻そうとしているかのようです。人々の不安、不満を利用しての躍進って・・・続かないと考えていたいものです。ドイツの飛行船ツッペリン号がガスを充満させて悠々と飛行していたにもかかわらず、突然の爆発により墜落したように。私も不安・不満を利用して、リーダーの威厳を保っているような方と仕事をしたことがあります。弁が妙に立つ方だったので、変えましょう!なんて意見して顔を潰してしまった場合、何を言われるか分かりません。なので、とにかく皆、極力イエスです。そんなですから判断ミスなどによる仕事のやり直しが多く、それをカバーするために、一体どれだけの時間が失われたのだろう?と考えると今でも残念な気持ちが蘇ります。独裁者の権威を維持するために何万人ものイケニエの命と20年の発展が奪われた中国の文化大革命みたいに。

人の心は自由より日々の糧に傾く
それでも黎は自由に懸け戦い続ける

香港の反共産党の新聞社オーナーである黎智英を紹介する日経新聞の一文

ピータードラッガーの言葉に次のようなものがあります。

Continuous improvements in any area eventually transform the operation.
継続的な改善はあらゆることを変える

 日々、少しづつ良い方向に変わっていくことで、長い目で見たら大きく変われることを私は信じています。 とてつもない大きな振り子も、少しづつ、少しづつ、揺れている方向に対して力を加え続けることで、やがて大きな振幅となるように。そんなふうであり続けることで、やがて訪れるであろうコンピュータが人間を超えるようになった時に、コンピュータでは難しい、過去の延長だけに囚われることのない新しい発想で勝負できるような、少しでも、そんな自分になれていたら素敵だと思っています。
囚われないsonic youth