No.0065:ネットワーク効果 〜 仲間は多い方がいい
2019.04.30

 表題の言葉は 商品やサービスを使う利用者が増えれば増えるほど利用者の、その商品やサービスから受ける恩恵が大きくなることです。このような例としてよく挙げられるのが電話です。最初の1台目の購入者は通話相手がいませんので電話を持っていても全く便利ではありません。2台目の購入者がいて、はじめて通話をできるようになりますが、2台目の購入者が赤の他人ですと、便利になったとは言えません。友人や親戚、同僚といった身近な仲間が購入しますと通話相手となり、便利になります。身の回りに購入者が増えれば増えるほど、徐々に手放せない存在へと変貌します。些細なことがきっかけで知り合った女性が、共に過ごす時間を増すことにより、かけがえのない存在に変わっていくように。
 
 私は小学校の頃、ファミコンとそのライバルだったスーパーカセットビジョンのどちらを買うか?ワクワク悩んでいました。私は人と同じが嫌な性格で、例えば巨人と阪神ファンが殆どだった中、私は一人、中日ファンでした。ですので、持っている人が多いファミコンの購入に抵抗感を持っていました。しかし、 誰も持っていないスーパーカセットビジョンを買ってしまいますと、カセットの貸し借りが出来ません。裕福とは言い難かったカセットを何本も買って貰える可能性に乏しい当時の私にとって、これは致命的なことでした。結局、長いものには巻かれろ!でファミコンを購入しました。そんなことでカセットの貸し借り、つまりネットワーク効果を享受しまくりました。友人との下校途中でのクラスのマドンナ話は素直に素敵と話しを合わせることで、妙な仲間意識が芽生えるように。
 
 先日の新聞で儲ければ儲けるほど、儲けは加速する、貧富の格差について書かれていました。その時の数宇をそのまま引用します。
 
アメリカでは上位0.1%の人の富と下位90%の人のそれが同じ。
 
 さすがにここまで偏っているのか?とビックリしてしまいました。似たような話でNHKのニュースで平成の30年間で中間層が減って、貧困層と富裕層が増えた、つまりラクダの2つのコブが際立つような変化が生じ、その要因として働く人の40%が非正規化したことにあると報道されていました。
 
 GAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンといった巨大なフラットフォーマー(無くては困ってしまう”基盤”を提供する企業)の独占が最近、問題視されています。 彼らが提供するサービスに利用者が、お金が、情報が、集まり、そうして得られた情報、お金を更にサービスの洗練に振り向けた結果、新たな利用者が集まる、をグルグル繰り返すことで、誰も彼らに対抗できない、そうなってくると彼らはライバルがいないことを、自分たちのサービス抜きに困ってしまう依存者が多いことを、良いことに徐々に横暴になる?なんてことが懸念されています。依存してしまった女性の横柄に何ら反発することなく受け容れる他ない残念のように。ひょっとしたら近い将来Amazon社が通販と家電とネットワークサービスと・・・複数の会社に分割させられてしまうかもしれません。
 
権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する。
英国の歴史家 ジョン・アクトン
 
 ネットワーク効果と似た意味を持つ言葉にバンドワゴン効果というものがあります。cmや店頭の手書きのpopの「今、売れてます!」とか「えっまだ試していないの?」みたいな皆が選んでます、選ばないあなた、大丈夫ですか?で選択を促す、アレです。いわゆる「勝ち馬に乗る」です。こだわりを必要としない日用品とかですと変な失敗をしたくありませんので、こういう作戦にやられてしまったりします。思いを寄せる女性に対して自分を無難に飾り立て個性を失ってしまう残念みたいに。その一方で私はかつてスタイルとか信念に関わることですと常識とか、当たり前とか言われると、その反対を選んでしまうようなことがありました。これをスノッブ効果といい、人と異なることに気持ち良さを感じてしまうことです。私にはこのような傾向がありましたが、何時からか 人と同じとか異なるとか、そういうことはどうでもよく、自分の基準、感覚で判断しない、単に人との逆をいく格好良さなんて、格好悪い、と思うようになりました。
 
素敵は素敵だし、残念は残念。
 
 自分の基準、感覚を大切にしようとすると、仕方ないけど長いものに巻かれて楽にやり過ごそうという気持ちと、反発されてもバカにされても自分の選択を大切にしたいという気持ちが、衝突することが少なくありません。私は可能な限り後者を大切にしていたいと考えています。文筆家である松浦弥太郎さんの「 味方が欲しかったら、敵をつくれ」と著書で書かれていた言葉に強烈な「そうだよな」を感じてしまい、 空気読んで、なんとなく正しいつもりより、自ら考え判断し不安を感じながら結果として間違っていた方がよほどいい、そうでないと大切な人との「ネットワーク効果」は生じ得ないと思うようになりました。川の激流の中で転がりながら、痛みを伴いつつ角を削りながら、しなやかさを増す、決して群れることなく、個としてあり続ける、ローリングストーンって格好良い、そんなふうに思います。
bob dylan:like a rolling stone