No.0035:イノベーション〜ついこの前までの無理が当前に
 2016.10.31

 最近、新聞やテレビ、雑誌を見ているとIoTという言葉に出会わない日は滅多にありません。様々な電子機器がインターネットに繋がって、その電子機器から送られてくる情報を集めて分析して意味ある情報を探し出す、そんなアイデアが、これでもか!というように紹介されています。例えばブルドーザなどの建機を製造しているコマツは、販売した建機の稼働情報をIoTによって収集し、部品の交換時期を予測し、故障前に交換することで、機械が故障して使えなくなる、そんな残念を減らし、機械の稼働率を向上させ、現場作業における工期の遅延を防止するための工夫がなされています。似たような話として橋やトンネルなどにセンサーを取り付けて、定期的にデータを収集、分析することで補修の必要性を判断するような試みもあるようです。人手に頼っていた作業が省略化されることでインフラ維持にかかるコスト削減が期待されています。
 IoTの別の例として、我が家ではインターネットに繋がる体重計を使っています。体重計が無線(wifi)でインターネットに接続され、体重などの計測データは瞬時にインターネット上のクラウドにあるデータベース(データを貯めておく場所)に保存、蓄積され、そのデータをiphoneのアプリで確認できるような仕組です。体重変動の推移をグラフで確認でき、減少傾向?またその逆?が一目瞭然になりますので、「よし、このままがんばるぞ!」「最近食べ過ぎているな、気をつけないと。。。」といったことで自分の体の状態を意識する機会が増えました。体重の他に心拍数、歩数、体脂肪率、運動時間、消費カロリーといったデータが管理されています。医療費の増加が国家財政を圧迫している状況の中、このような方法による健康増進も少しは効果があるのかな?と実体験を通じて感じています。
スマホの画面イメージ

 別のイノベーションの例としてマスカスタマイゼーションと言う言葉があります。例えば服を作る場合、これまでは色や形が全く同じ商品を大量に作ることで生産コストを削減することが効率的とされていました。しかし、人々の価値観の多様化によって必ずしもそんなやり方が正しいとは言えなくなってきました。そんな中で人それぞれの好みにあった異なる商品を従来の大量生産と、それほど変わらないコスト、時間で作ることを意味する言葉として、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)という手法が注目されています。例えば洋服屋さんでお客さんがタブレットによって様々な柄・サイズを仮想的に「試着」することによって、お好みを探しだし、その設計データを瞬時に工場に送信し、工場の空いている機械が自動的に設計データで指定された柄を生地に印刷し、人が縫製を行う、そんな流れで短納期、低コストを実現しているアパレルブランドがあります。人と同じは嫌だ、個性を大切にしたい、そんな消費が盛り上がりつつある今、このような会社が洋服に限ることなく増えていくように思います。麺の堅さ、油の量、味の濃さを指定してお好みを楽しめるラーメン屋が増えているように。

 金融サービスにおけるITの活用(フィンテックと呼ばれています)で注目されているのがブロックチェーンです。最近何かと話題のインターネット上で利用されている仮想通貨ビットコインを後ろで支えている仕組です。従来は通貨の運用には中央銀行などによる巨大なコンピュータを用いた取引の承認、記録が必要でしたが、ブロックチェーンは、インターネット上につながっている複数の小さなコンピュータ同士が互いに取引の記録を共有することで、中央銀行などの管理主体を必要とすることなく、低コストで運用でき、さらに改ざんといったインチキを防止できます。ですので非常に安い料金で世界中に送金を行うことができます。一方で管理主体を持たないため、テロリストなどへの危ないお金の送金に利用されてしまう怖さもあり、各国で様々な規制が制定、検討されています。規制を強め過ぎると斬新なアイデアによる利便性が低下する一方、自由度を増すと不正利用のリスクが高まる、そんなトレードオフに対する難しいバランスが求められています。

 イノベーションというと少し大げさですが、10/25よりiphoneでsuicaやクレジットカードの利用が可能になりました。早速、設定を行い利用してみました。初めてsuicaを利用した時は改札でiphoneをかざす位置がおかしくて2度ほど失敗し、恥ずかしい思いもしましたがすぐに慣れました。そんなふうに数日使ってみて、やはり便利だ!というのが実感です。数百円の買い物に、お財布を出さなくても、iphoneをかざすだけで支払えてしまうのは便利です(ガラケーでは随分と前から出来ましたが)。このようにiphoneの欠点とされていたお財布ケータイ機能が利用できる事になったこと、またiphoneの最強のライバルであるサムスンのスマホが火を噴いて販売が停止になりブランド力が低下したことで、iphoneの日本でのシェアはさらに高まるように思います。

 2016年1月における日本のスマホのシェアは半分をiphoneが占めています。その時点ではお財布ケータイ機能はまだなかったにも関わらず、です。マニュアルを必要としない直感的に使える操作性、シンプルでクールなデザインといった強みによって、日本で爆発的に普及していたお財布ケータイ機能が使えないといったイタすぎる欠点をカバーし高いシェアをキープしていたiphoneの商品力には凄い!の一言です。私自信もヤレヤレな欠点をいくつか抱えていますが、どうしようもない弱みの克服は放っておいて、得意をさらに磨くことで、イノベーションというと偉そうですが、小さな成果をいくつか残すことができたら幸せなのかな?そんなふうにiphoneを使いながら思ってしまいました。 

強さが弱さをどうでもよくしている、ゆらゆら帝国