No.0024:シェアリングエコノミー〜余分から必要へ
2016.01.04

 新たな年が始まり、今年は一体、どんな一年になるのかな?どんなこと、仕組みが必要とされるのだろう?それに自分はどうなふうに関わっていけるのかな?とか考えていたところ、一昨年くらいから、妙に盛り上がっているシェアリングエコノミーという言葉が頭に浮かびました。

 シェアリングエコノミーとは個人の余っている時間、モノ、お金などを必要としている人と共有する仕組みのことです。スマホとかネットワークの技術の発達が、それを支える重要な役割を果たしています。そんなシェアリングエコノミーで真っ先にイメージされるのはタクシーのuberと民泊を仲介するairbnbです。

 uberは運転手自身の所有する空いている車、空いている時間を利用してお客さんを乗せるタクシーのようなビジネスモデルです。またスマホのアプリでお客の位置情報をもとに近くにいるuberの車が迎えに来てくれて、決済も事前に登録したクレジットカードで行うことで、お金の受け渡しがないのでトラブルの発生が少なく、さらに日本では御法度の相乗りサービスも提供している、といった非常にスマートな仕組みを展開しています。ユニークなのがお客、ドライバの双方が相手を評価し次回以降の営業や利用に参考にすることです。サービスの悪い運転手や、態度の悪いお客は自然とuberから疎遠になるようになっています。そんなuberが日本で去年の2月に福岡で相乗りサービスの実証実験を開始しましたが、直後に国土交通省の指導によって中止に追い込まれてしまいました。乗車料金が国によって決められているような規制に「守られた」業界ですので、刺激が強すぎて既存の反発も大きかったのかもしれません。

 airbnbは空いている個人の家と世界の旅行者を仲介するサービスです。190カ国、34000都市に200万室を有し、その規模は世界最大のホテルグループを凌ぐそうです。またこれまでの累計利用者数は6000万人にのぼります。泊める側、泊まる側、双方ともに、お金ばかりではない、異文化との交流に魅力を感じるようです。日本では政府の進めているビジットジャパン、2020年に予定されているオリンピック、などによって海外からの旅行者が激増していて、今後も更なる増加が予測されています。そんな中、ホテル数が不足していて、それを埋める存在として個人宅に旅行者を泊める民泊が注目されています。ただ、民泊は(事業性が高い場合)防災・衛生・安全等についての一定基準のクリアが求められる旅館業法を守っていない!といった批判がお客を食われてしまう懸念を抱えている既存の宿泊事業者からあがっています。しかし政府は海外から旅行者の日本国内での消費による経済効果を規制によって失うのはもったいないということで、規制を緩めて民泊を活発化させていこう!といった方向に最近は動いています。

 シェアリングエコノミーとは別の話ですが、「余分から必要へ」の一例をあげます。時代の移り変わりとともに、日本の社会や企業が得意なこと不得手なこと、必要とされていること不要なこと、は大きく変わってきています。常に、常に、止まることなく、日々、着実に。そんな中で、労働者がそれほど必要では無いところに過去の成功、栄光、思い出、さらには一気には減ることのない年功序列的な賃金、法律で保護された雇用によって、移動することなく留まってしまっている、翻って、新たに必要になったところでは人手が足りない、なんていう雇用のミスマッチが社会問題化しています。そんな残念な状態を解消するために 成熟企業→成長企業(余分 → 必要) に人材を移動させるために職業訓練や労働移動への補助金・助成金等が使われているみたいですが、効果は薄いように私は思います。「何とか定年まで粘って退職金ゲットするぞ!だって今から新しいこと、ところ、なんて、おっかなくて冗談じゃない。」って声が聞こえてきそうです。労働のミスマッチ、アベコベを、解消するためにアメリカのような挑戦を促す必ずしも年齢によらない賞賛が大切にされる変化が必要だと思います。そのために退職金や年齢給を減らして貢献度合いに基づいた給料を増やす、過度な雇用保護を緩める、起業への助成を手厚くする、といったことが変化を促すのに必要と考えます。でないと、かつてはトップの方を走っていた日本が、厳しい競争にさらされているピキピキ感と絶対やってやる!みたいなギラギラ感を併せ持ったライバルの後塵を拝しズルズルと後方に順位を落とし続けている今のヤバい流れを止めることは難しいのではないでしょうか?

 我が家は先月まで家政婦さんに来て貰っていました。子育てが終わって時間の自由がある、さらに主婦として蓄えた卓越した家事のノウハウを持て余している、そんな余分(少し失礼な言い方ですが)を、夫婦共働きで家事を行う余裕のない若い世代への不足に充てることは実際にお願いしてみてホントに素敵なことだと実感しました。素朴なお母さんの味、子供への細かい気配り、亡くなった私の母に似た、ほんわかした雰囲気、等、優しさ暖かさを持った素敵な家政婦さんでした。労働人口減少を止めるために女性の社会進出が注目される一方、子育てが、そのネックとなっている現状への対応策として、家政婦さんと子育て世代のマッチング(引き合わせ)の場と、その費用の補助(私の住んでいる行政区域では現在、補助なんてありませんし、税金を軽減するための経費計上すら認められていません)が非常に効果的であることを実際の体験を通じて強く感じました。今後、家政婦さんの利用を促進するにはuberのような家政婦さん、利用者の双方による相互評価の仕組みによって得られる信用情報をもとにしたマッチングが非常に有効なものになるでしょう。以前、ベビーシッターによる子供への虐待の事件が報道されていて、我が家も家政婦さんの利用に不安を強く感じていましたので。 
 私は忙しい、時間が無い、なんてことで、子供との時間をないがしろにしている自分に気づいて反省してしまうことがあります。人生の優先順位は子供を一番上に考えていて、そのために稼がないと!は間違ってはいませんが、もっと自分の思いを伝えた上で子供の話を聞くとか、間違ったことをしたら叱るとか、そういった触れあいが、お金と同じくらい、子供が健全に育つためには大切だと考えています。そうすることが、子供たちの、つまんない失敗の数を減らして、貴重な失敗に時間を多く使えることに通じるはずです。そんなわけで工夫によって余分な時間を作り出し、彼らの必要に充てていきたいと思っています。
母への愛を唄ったジョンレノンの曲