No.0017:しおり〜ふと過去が呼び戻され思うこと
2015.07.24

 過去に聞いた音楽、記憶している匂いによって、それに紐ついている記憶がよみがえってくることがあります。ごくごく鮮明なイメージとして。

 先日、ワケあって布団屋さんに行った時、畳のゴザが売っていて、その匂いを嗅いだ瞬間、小学生の時に仲の良かった友人の部屋の様子が浮かび上がってきました。お祭りの日に地区の屋台をひくための集合前のちょっとした時間にファミコンを2人でやっていた、懐かしく楽しい思い出。

 お線香の匂いを嗅ぐと小学生にあがる前の、お盆の昼間の暑さが緩和された、薄暗くなりかけた、夕方にちょうちんを持ってお墓参りに行った情景が浮かび上がります。子供用の小さな赤いちょうちん。自分用のそれがあることがとっても嬉しく誇らしげだったことを記憶しています。

 The Flipper's Guitarというグループが若い頃、「渋谷系」とか言われて流行っていました。いつだったか正確には覚えていませんが最近、ふと耳にしたことがあって、大学に通う為に田舎から東京に出てきて、都会の人に気後れしているイケてない自分を何とか都会的に洗練させるんだ!ってことで少し調子に乗っていた若い頃の自分を思い出してしまいました。
Flipper's Guitar - Groove Tube
 こんなふうに匂いとか、音楽がしおりとなって過去が引っ張り出され幾分、切なさを感じてしまうことがあります。 変わってしまったんだ、と。私は過去に執着するなんて気は毛頭もありませんし、むしろ格好良くないとまで思うこともあります。人は、自分を取り巻く環境は、変わっていくものですから。

 その一方で、 変わることで老いてしまったこと、効率とか、プライオリティとかで置き去りにしてしまったことを残念に思うこともあります。好奇心の強さとか、素直さとか、直感とか、少しくらい自分が損するくらいが丁度いい、といった人を大切に思う気持ちとか。今の自分は今のままでいいのかな?そんな迷い、不安がグルグル頭を回ってしまうことがあります。

 季節の空気感とか、女性の美しさとか、田んぼでゆらゆら黄緑に光るほたるとか、芸術的なストライカーのドリブルシュートとか、キュッとしまった格好良過ぎるジャケットとか、不安・願い・思いの詰まったギターのカッティングとか、そういうこと、ものに素直に素敵って感じられる素敵なオヤジで有り続けたいと考えています。

 最近、時間が取れなくて、「忙」しくて、文字とおり心を亡くしてしまっていると感じることがあります。時間が出来たら、どこか静かなところでボーッとする一日を作ってみたいと思っています。そんな一日がクリエイティブな自分を取り戻す為には必要なのかなと感じています。