No.0014:シンガポール建国の父:リー・クワンユーに学ぶ持たざる者の覚悟
2015.05.03

 シンガポールと聞いて思い浮かべることは何ですか?私は随分と前から、アジアの周辺国が発展途上にある中、非常に小さな国であるにも関わらず、尖りまくって成長を遂げている希有な存在であること、その一方で、ガムを噛んだり、唾をはいたりすると捕まって、とんでもない罰金を科されてしまう過激な国だなとのイメージがありました。今回はそんなユニークな国を創り上げたシンガポール建国の父:リー・クワンユーについて取り上げたいと思います。

 シンガポールはイギリスの植民地からの解放後、1963年にマレーシア連邦に参加しました。しかし人種・宗教による対立が激化し、シンガポールは1965年にマレーシア連邦から追い出されてしまいました。この時、リーはマレーシアに留まることがシンガポールが進む唯一の道だと信じていたため、国民に向けた独立を発表するテレビ中継の途中で悲嘆のあまり涙するといったこともあったようです。何故かというとシンガポールは農耕地つまり食料、水、地下資源、国防能力、産業に乏しい状況の中、リーは連邦の庇護がないことには存続し得ないと考えていたからです。

 このような「ないない尽くし」のどん底の中、リーは外国の力を借りながら輸出競争力を高めるのが自分たちに残された道だということで「 どうしたら外国企業にとって魅力的な国となるか?」を考えまくって、幾分強引な権威主義的政治体制を敷きながら自分の信念に基づいた超合理的な施策で発展を遂げていきました。言論弾圧、管理社会といった負の側面を抱えながらも。

 具体的な策として①法人税はとてつもなく低く、道路、通信、空港などインフラは国が主導して徹底的に整備しました。②成績優秀な子供にたいしてエリート教育を施し、優秀な官僚に育て上げ国を支援させる極端な教育体制を作り上げました。③国際公用語である英語を全国民に習熟を求め、一定年齢以上のシンガポール人は英語を理解できるようにしています。このようなリーの施策を調べていたところプラグマティズムにつきると説明されていました。 行動、利益に結びつかない屁理屈なんてどうでもいい、結果に結びつく理屈だったら何でもやるぞ!って気迫が彼の施策には感じられます。

 リーの独裁的リーダーシップによってシンガポールの一人あたりのGDPは日本をはるかに凌ぐ経済大国に発展しました。独裁というと悪いイメージが強いですが、そんな体制を長年に渡って維持し、国を発展させることができたのは 国民が経済成長なしに未来はなく、リーにはその力があると信じていたからだそうです。水や食料は周辺アジア国に依存し、投資や貿易は日本や欧米先進国に依存している、そういったヤバい状況にたいする強い危機感がリーの覚悟につながったようです。私も立ち止まったら「俺たちに明日はない」くらいの覚悟を持ちながらヤバさで以て自分を前に前に推し進めていきたいと思いました。最後に リーは遺書で自宅を取り壊して再開発するように残したと日経に載っていました。自分の権威とかそういうのは大したことではなく、そんなことより自分の亡き後も合理性を忘れるなとのメッセージだと私は受け止めました。そんな彼を私は格好いい男だと感じました。
独自の行動力でファンを魅了したJohn Lennonのstand by me