No.0008:弱者は効率的ではなく戦略的に
2015.03.19

 お客さんが仕事を発注する際に、中小企業、大企業のどちらに頼むか、それはお客さんの求めによります。仕事を依頼したら途中で逃げられた、経営破綻によって、かけた労力、時間、お金がパーになってしまった、なんてことにならないように、信頼できる実績のある大企業じゃないと!って考えるかもしれませんし、一方では大きなところは何でこんなに融通がきかないんだろ?些細なことでも「追加見積させていただきます」って・・・。小さなとこなら、トータルで半分もかからないでやってくれるだろうに、そんなふうに考える方は、中小企業を選ぶかもしれません。このように安心と価格、どちらを大切にするかによって発注先が異なってきます。

「小」は「大」より尖らないと
 中小企業、大企業のどちらにも長短ありますが、普通に比較すると、業種にもよりますが大企業が優位なことは皆さんも肌感覚としてお持ちだと思います。そんなワケで、私たちのような、 ちっちゃな存在は、みんなでまとまってシナジーとか、大企業では入ってこれない隙間(ニッチ)とか、はたまた大企業が前例は?リスクは?で偉い方10人のハンコでモタモタしている間に先を突っ走る、とかでアイデンティティを見いだしていくことになります。

効率ではなくて戦略によって差別化する
 「小」は「大」と同じことしてたら、存在が難しい、もしくは大企業の庇護のもと下請けで歯ぎしりすることになります。そんな差別化って観点で、ここのところ、妙にこころに引っかかったことがあります。どういうことかといいますと、IT活用の目的というと、よく効率性の向上ってことになりますが、そんなじゃ満足できない、もっと戦略的に使おう!ってことを最近、何回か耳にしたことです。そんなで私は 「大」が効率って言っている間に「小」は戦略にいかないとって思いました。

戦略的であって欲しいマイナンバー制度
 似たような話として、来年から開始予定のマイナンバー制度。ひとりひとりに番号をふって、その番号でもって税金とか、年金、保険、災害時の対応、等々を効率的にやりましょう!ってことになっています。どこいっても同じ番号で情報がつながるから、今までみたいに役所への申請で、その情報は私たちのナワバリでないから、所轄の所に行って証明書もらってから出直してください、みたいなことが減るようです。また縦割り行政ということで、ある係と別の係で同一人物の情報がつながってないことをいいことにした税逃れみたいなことが減って税収が増えるとも言われています。

本気になれていないような
 でも、こういったことって効率的だけど、僕たちの生活を一変させるようなことではありません。病歴、資産額、犯罪歴、戸籍、学歴・社歴、海外への渡航歴、下手すると携帯の通話・通信の履歴、といった情報がマイナンバーで一人の人間としてつながってしまうことで個人が丸裸にされてしまう、といった怖さが、情報が統合されることによる戦略的利用にブレーキをかけているように思います。年金記録のずさんさみたいなのはホント勘弁ですが、かといって慎重になりすぎることによって効果が限定されてしまうとしたら残念なことです。

今度こそ
 先日の日経新聞にマイナンバー制度を住基ネットの二の舞にするな!みたいな記事が載っていました。住基ネット構築に400億もの費用をかけて、実際に利用している人は5%程度らしいです。それでも、業務効率の改善で随分と経費の削減に貢献しているみたいな話もあります。でも、そういう数字って、いかようにもコントロールできてしまいますから、ホントのところはわかりません。アクアライン建設計画を推し進めた時の利用者のバブリーな見込数みたいに。

禍を転じて福と為す
 経済の停滞、借金まみれ、比類なき高齢化。世界の中での凋落が目まぐるしい日本は、課題先進国である状況をチャンスと捉えて、もう少しリスクテイクにふれてもいいと考えます。なぜなら悩んでいることを、他国に先んじて解決することで競争力を取り戻し、さらに日本の後に続く同じような問題が起きうるだろう国にノウハウを輸出出来たら素敵だからです。日本モデルとかいわれながら。そのためにもリーダが分かりやすく説明して、グイグイ引っ張っていってくれたらなと思います。ちっちゃな文句ばっか言って、代案を示せない人たちを、黙らせるくらいのリーダーシップで。

最後に
 来年から開始のマイナンバー制度がどれくらい戦略的なものになるのかは謎です。しがらみとか、既得との戦いのすさまじさも理解できます。ただ、少なくても効率的であって欲しいものです。少しマイナンバーの例で長くなってしまいましたが、私たちのような「小」はいっつも戦略的にモノを考えていたいものです。 原価の対前年比5%の削減ではなく、従来の強みを生かした新分野の開拓によって2年で売上倍増みたいに。
尖りまくって音楽シーンを席巻してしまったsex pistols