No.0006:Appleに見るトレードオフへのラジカルな選択
2015.03.12

 先日、iPhoneを造っているアップル社が新しいmacbook(ノートPC)を発表しました。そこで話題(問題)となったのが今までのパソコンは周辺機器(ハードディスクや液晶ディスプレイなど)を接続するために、いくつかの穴が側面に空いていますが、それがなんと一つしかないということです。その一つの穴も通常は電源用に使用することになりますから、周辺機器を接続できないばかりか、macbookでiPhoneを充電するなんてこともできなくなってしまいました。

薄さ、軽さのために
 おそらく一つの穴を複数の穴にする「タコ足」のケーブルが別売りで発売されるとは思います、たぶん。でも標準では自由に使える穴はありません。何でそんな?とお感じになるかと思いますが、その理由は薄さ、軽さを追求するためです。余分な穴たちを削ることによって構造がシンプルになり、薄さ、軽さを実現できます。ノマド的な使い方をするにあたって、それは重要です。必要なところに持って行って、さっとカバンから取り出して、モニタを開いたら、すぐに起動して作業、終わったらモニタ閉じて、サッとカバンにしまって、次の勝負の場所へ、みたいな使い方に、特に軽さ、つまり機動力は重要です。いつ使うか分からない周辺機器との接続性なんてことより、はるかに、はるかに、です。

捨てることなしに得られない
 アップル社は過去にもフロッピーディスクを捨てCDに、ビデオ機器との接続につなぐFireWireを捨てUSB2.0に、そしてここ数年はDVDを捨てネットワークからダウンロード、といったように、時代を先取りして捨てることで進化してきました。ただ、そのスピードが速すぎて無謀、犠牲、人柱とか揶揄されることも少なくなく、賛否の幅を大きく感じます。でも、そんな声はしばらく経つと徐々に小さくなって、その選択が正しかったことに気づいていき、自然に受け入れられていくことになります。

人生もこんなふうに
 私は人生(少し大げさな表現ですが)の選択によく迷います。特に独立し、 何かをしようとすると、その分、何かを捨てないと無理だと気づくことが多くなりました。始めのころは、捨てることが、もったいなくて中途半端な状態が続いた結果、やはり、これじゃダメだな、捨てないと!ってことで前に進めたりします。例えば、僕はiPhoneのアプリを開発することを本業にすることを決めてから、プログラムの勉強を始めました。僕はそれがとても好きだったからです。でも、少しやってみて「このままだと時間の殆どが、うめつくされてしまう、これ、ホントに自分が望むことじゃないよな?もっと人と関わることしたかったんだよな?」って思ってプログラムをやらない選択をして、それを実現する方法を試行錯誤の結果、探しだしました。そんなで人と交流を続けていくなかで、少しづつではありますが可能性が見えてきた、それが今の状況です。

AND思考?
 要求がいくつかあって、どれかを優先するんじゃなくて、全て満たしちゃいましょう!なAND思考って考え方があります。そんなAND思考のこと考えていて、トレードオフな問題解決にたいするORな解決って短絡なのかな?って最近悩んでしまったことがあります。で、私の考えた結論はケースバイケースだってことです。今回のmacbookのケースは、軽さも、周辺機器への接続性もってことでAND思考で解決しようとすると中途半端な製品になって尖りません。だから機動力を最優先しラジカル(極端)な選択をしたと思うんです。その一方で、どちらもということで竹下登元首相の足して2で割る政治のようにバランスが優先される場合もありますし、時には全ての課題を全て最善なかたちで解決する素敵もあったりします。そんなで 全てを超ハッピーにする答えがあるのか?ないのなら空気感(ANDとORのどちらが望まれているんだろう?)を読むのが大切ってことで今回は閉じさせていただきます。それと、最後に社名のラジカルバランスはそんなこと考えて命名させていただきました。
ラジカルな音を鳴らすsonic youth