No.0078:快適なリモートワークを支えるモノ、コト、オモイ
2020.05.31

 コロナ禍によって私は4月より自宅でのリモートワークを開始し、まもなく2カ月が経過しようとしています。私はこれまでも職場でない場所で、都合の良い時間に働くことに大きなメリットを感じていましたので、大きな驚き、戸惑いはありませんでしたが、ここまで長期的、連続的なリモートワークは初めてです。ですので、快適にそれを行うためのスタイルを考える機会が増えました。1日中、ダイニングテーブルで仕事するにはダイニングのイスでは疲れやすい、だから買い換えたりといったことから、昼食を作って食器を洗うとなると休憩の1時間はあっという間に過ぎ去ってしまいますので、テイクアウトを利用したりと、そんな幾つかのリモートワークを快適にするモノ、コト、それとオモイについて取り上げます。
 
 まず、私はパソコンの画面の大きさが生産性の向上に直結すると考えています。どうしてかというと、ノートパソコンの狭い小さな画面でexcel、powerpoint、chromeなどのアプリケーションを都度切替ながらの、情報の参照、比較、コピーといった操作は煩雑ですし、ミスも生じやすい、だから 液晶ディスプレイやタブレットをサブディスプレイとして画面を拡張し、各アプリケーションを同時に見られるように並べて、一覧性を高めています。そうすることで、情報の参照、比較、コピーなどの効率が圧倒的に高まります。複数銘柄の現在値、各指標を一覧することで今後の値動きを瞬時に判断し、一瞬のチャンスを見逃さない株式トレーダーのように。私はコロナ禍前よりこれを実現するためにipadをサブディスプレイ化するduetというアプリを活用していました。最近はmacの基本機能であるサイドカーによっても可能になりました。サブディスプレイ上でも殆ど遅延なくスムーズな操作が可能でとても重宝しています。なおduetはwindowsでも利用することが出来ます。
 
 サブディスプレイを導入する際にノートパソコンに付属のキーボードではなく、独立したキーボードを利用することで操作性が向上します。何故かというとノートパソコンのキーボードを使用すると、サブディスプレイはオマケみたいなことで、サブディスプレイを見るには大きく視線を動かさないといけませんので、それが負担となり、自然とその利用頻度が落ちます。だから私はノートパソコンのディスプレイとipadなどのサブディスプレイを左右に並べて、そこから少し距離をおいてキーボードを配置しています。そうすることで平等に2つのディスプレイに視線を配ることができます。それを実現するために私が利用しているのがHHKBという商品名のbluetooth(無線)でパソコンと接続するキーボードです。無線ですので机上でケーブルが暴れるようなことがありません。また簡単に付属のアプリによってキーの配置を自分専用にカスタマイズできます。さらに一番のこのキーボードの売りが「押している」感を強く得られることです。 最近のノートパソコンは薄さ、軽さを追求するあまり、キーボードの押し込み幅がほんのわずかでタイプミスを誘う作りになっています。HHKBはタイプの度にスコ、スコ、スコと心地よくその反応を指先と耳でしっかりと感じながら文章を作成できます。都会の効率化偏重によるせわしさが時には田舎のゆっくりに劣るように。
  
 次はBGMです。 音楽を聞きながらの業務については賛否両論だと思いますが、時間の流れを忘れて没頭する「フロー」な状態を作り出すために必要な道具だと私は考えています。ただし音楽は好みの違いが大きいので、他者と好みが似ているならば問題ないですが、そうで無い場合、ヘッドフォンを利用して自分の世界に留めるべきです。私が愛用しているヘッドフォンはBose社のNC 700 HPという製品です。Bose社の十八番であるノイズキャンセル(外の雑音を軽減する)機能によって集中力が高まります。例えば息子達がゲームやアニメで夢中になっている横で集中する空間を作り出せます。またヘッドフォンに備えられたボタン一つ押すだけでアレクサ、SIRIなどの音声アシストを呼び出せるのも非常に便利です。例えば、ちょっとトイレみたいな空き時間にボタンを押して「ニュース」と話しかけると、予め設定しておいたソースの最新ニュースが流れ始めますので細切れ時間を有効に活用できます。さらに便利なのが、マイク性能が高いことです。付属された8つのマイクで集められた音から外の雑音を排し、自分の声だけをクリアに拾うことで、zoomやTeams、LINE等によるWEB会議のコミュニケーションの質を高めます。
 
 音楽についてのモノの話しはこれくらいにして、ここからは音楽のコト、つまり楽曲の話しです。私は最近spotifyという音楽ストリーミングサービスの利用を始めました。家族6人まで利用出来て月額1500円で6500万曲が聴き放題です。 利用開始と同時に好きなアーティストを選ぶように促され、それに関連した必ずしも自分が選んだアーティストではない関連性の高い「おすすめ」を聴けるような仕組が多く用意されています。この「おすすめ」はその後の鑑賞履歴によっても変わっていくようです。少し趣味みたいな話になりますが、私はspotifyに興味はあったものの、本当に好きなものについては所有したい、だからCDやItunesで自分が選んだお気に入りの購入、所有でなっきゃ、と思っていました。稼働率が驚くほどに低くともサブスクリプションなんてあり得ない週末のごく限られた時間だけエンジンの灯がともる所有でなければならない(いつの日か手に入れたい)真っ赤なフェラーリみたいに。しかし所有にこだわっていた以前の私は同じ楽曲を繰り返すことが多く、それも20年とか30年聞き続けている楽曲も少なくありませんでした。
 
 それはそれでいいのですが、その一方で新たな出会いがないな、との思いもあり、1ヶ月に1枚新しいアルバムを購入し、幅を拡げていくぞ!と自分へルールを課していた時期もありましたが、いつのまにか途絶えていました。そんな音楽的幅の末広がりに乏しい私ですが、 spotifyを始めてから「おすすめ」によって新たに出会う楽曲、アーティストを聞く機会が増えました。蓄積された鑑賞データを利用したAIの分析や、音楽好きによる「おすすめ」によって触発される出会いの連鎖を楽しんでいます。WEBページ上のリンクによって次々に別のサイトに乗り移るネットサーフィンのように。また聴き放題ですので、中学、高校で聴いていた楽曲を検索して手早く簡単に聴くことが出来ます。また「90年代のなつかしのJPOP」みたいなのもありまして、なつかしの楽曲が本のしおりみたいになって、10代の頃の自分の考えや想いが、引っ張り出され、新鮮な気分が蘇り、意欲が湧き出されることがあります。 
spotifyで出会ったRIDE

 最後に示す例はリモートワークの進展によってもたらされる働く人の価値への考え方の変化という話しです。今後、リモートワークが根付いていくに伴い、成果に基づく評価の重要性が増していくと考えています。どうしてかというと、これまでは一つの場所に、同じ時間に集まって、上司の前で頑張っている姿勢(例えば長時間残業)、上司への従順な態度(例えば徹底的イエスマン)、他者の間違い探しによる責任転嫁・他者批判、などを駆使することで、必ずしも成果によらない評価を得ることがある程度、可能でした。しかし、そういった虚飾が効果を失いかねない成果の重要性が増すリモートワークへの移行が進んでいる今、自分の出来ることを磨き続ける、時には状況変化によって自分の得意でお客さんを喜ばせることが出来なくなってしまったような場合、喜んでもらえる新しい得意を身につける、ことが欠かせなくなると私は考えています。そんな中、自分を更新しつづけるために、私はいくつかの有料サービスを購読しています。

  • 10MTV:1コマ10分くらいのIT、経営、歴史、哲学、文学、芸術などのアカデミックな講義動画が見放題です。ちょっとした隙間時間を有効に活用できます。
  • グロービス学び放題:グロービス経営大学院が提供するビジネス全般の講義動画が見放題です。グロービスの主催する各種ビジネスセミナーも視聴できて、最先端で活躍されている方々の考え、想いに刺激を頂いています。
  • スタディサプリENGLISH:TOEICスコアを伸ばすためのリーンディング、ヒアリングを向上させるための教材です。単なる教材ではなく、講師による動画講義も視聴出来ます。
  • LissN:日本経済新聞の記事(1日3〜5本)を英語で読んだり聴けるサービスです。日本語訳も表記されています。英語ばかりではなく、ビジネスの知識にもなるのが嬉しいです。ただ10日くらい前の記事なのが残念です。でも凄くお気に入りのサービスです。
  • 日経ビジネス:これは雑誌ですが、新聞では得られない、世の中を動きをフロー(事実の連続)ではなくストック(複数の事実を総じて判断する、見通す)として理解するのに便利な雑誌です。

 リモートワークといった働き方が定着することは、場所、時間に縛られないので自ずと日本人ばかりではない、海外の方と共同するケースが今以上に増えていくと考えています。海外に移動しなくても(小さくない時間やお金といったコストをかけることなく)チャットツールやWEB会議で安価にコミュニケーションできるからです。だから私は英語の習得に長い時間をかけています。ポケトークのような翻訳機器で事足りるといった話しも耳にしますが、決まりきった定型作業などは、そういったもので十分ではありますが、答の曖昧な課題に対して、あーでもない、こーでもないと相手の感情に配慮しながら議論することで結論を下すといったことでは、翻訳機器に頼らない、表情や、動作、声の調子、間といったことで構成される空気感も相手の発する内容とともに情報として受け取れる直接のコミュニケーションの方が効率的であると私は考えます。またリモートによって世界中の方と仕事ができるようになることは競争相手が増える、つまり競争が激化することだと考えています。だから能力の組合せによる希少性を持つことが重要だと考えています。技術を知っているSEは当たり前だけれども、経営や、会計、哲学、歴史、語学、芸術が分かるSEは希少で、そういった多様な要素を、アプリやシステムに少しでもちりばめられたら、自分のモチベーションを高く保ちながら、お客さんにも満足を提供できる、快適なリモートワークが実現出来ると考えています。