No.0082:平準化
2020.09.30

 私が中学の野球部で1年だった頃、役割の中心は下働きで、練習が終わった後、トンボと呼ばれる道具でグラウンドを平らに、つまり、でっぱっている部分の土を、へこんでいるくぼみに移動し、ボールが妙なバウンドをしないようにならす作業を繰り返していたこをよく憶えています。これと同じように生活においても、でっぱりも、くぼみもない、平坦さは何かと都合のよいことが実感されます。変なイレギュラーバウンドがきっかけとなって失点しないために。
 
 例えば最近、被害が大きくなっている豪雨です。1日で1月分の降水量を記録した、みたいな表現を目にする機会が珍しくなくなってきました。また、線状降水帯という、かつては聞いたことのない言葉が一般化しました。雨は農作物の発育や飲料として不可欠ですが、あまりにも短時間に大量に降ると水害に、逆に長期間にわたり降雨がないと干ばつにと、どっちにしても都合が悪く、可能な限り平坦であって欲しいものです。そのためにも二酸化炭素の排出を抑える生活の必要性を強く感じます。
 
 似たようなことでお店や飲食店、遊園地等でお客さんが全く入らないのは、商品が売れ残り店員は暇で明らかにダメですが、その反対に殺到されても困ってしまいます。商品が売り切れてしまったり、順番を待つ行列が長くなったり、更には店員が対応しきれずにサービス品質が低下したりと、お客さんの不満を大きくしてしまいます。そこで重要なのが、お客さんの来店数を時間的に平らにならすことです。手段として例えば以下が考えられます。

  • 空いている時間帯に使えるクーポンを発券する。
  • 人手の多い季節、曜日、時間帯の価格を上げる。宿泊施設でよく用いられる方法でダイナミックプラインシングと呼ばれています。最近流行のIT、特にAIとの相性が抜群です。
  • 時間帯によって顧客ターゲットを変える。例えば今、絶好調のワークマンは、朝夕は工事現場などで働く人、日中はアウトドアファンに狙いを定め、店内のBGMや照明、香りを変えているそうです。

 最近、コロナの流行によってピンチが続いている飲食店が、1日を通してお店に人を呼び込む試みの話を先日、雑誌で読みました。ある居酒屋では、昼はもともと営業していなかったのものの、コロナ禍により夜の営業時間が制限されたことで、何とか昼に収益を上げたい、そんな願いを叶えるべく、昼間に開業資金を抑えて飲食サービスを開業したい人とのマッチング(引き合わせ)サービスを通じて何とか生き残っていくという内容でした。以前からシェアリングエコノミーってことで車や駐車場、部屋、さらには蓄えた経験、知識まで空いているものは貸し出して稼働率を上げ豊かになりましょう、そんな考え方が拡大していましたが、工夫次第で何とかなることも多い、そんなことを実感しました。
 
 私自身のやる気にも凸凹があります。気分が乗らないとき、逆に時間の経過を忘れて没頭出来るとき、とやる気には随分とムラがあります。私は気分が乗らないときは、創造的なことよりも、事務的なことにより多くの時間をあてるようにしています。必ずしも締め切り等による優先順位によって上手く割り当てられないこともありますが。また、気分のムラに影響されないように、やらなければならないことを習慣化することにしています。やるか?やらないか?なんて迷わない、当然やる、みたいなことで。
 
 最後に運の話しです。私は霊的なことは信じていませんが、運の上下の波はあることを経験を通して実感しています。元々は大好きな麻雀を通じて感じていたことですが、キッチリと適切な判断をしていればチャンスはいつか訪れる、反対に落胆しすぎたり、イライラしたり、調子に乗ったり、といった感情の振れによって判断を誤ると運は逃げていきます。私は心配性の性格で少し悪いことがあると必要以上に悲観してしまう方です。そんな時は判断を誤らないよう、他人事のように考えてみたり、最近ハマっているマインドフルネスを意識して深呼吸してみたり、尊敬している高杉晋作ならどう反応するだろう?を考えて、少しでも冷静、客観を意識し、過剰に反応し、判断を誤らないように気をつけています。
 
 そう言えばある著名なコンサルタントの方が自分の存在意義は、どんなに優秀な経営者もテンパると判断を誤ることがある、そんな時に肩を叩いてあげることだ、と仰っていました。誰でも平坦さを欠くことがある、少しホットしたことを憶えています。

なるべく小さな幸せと、なるべく小さな不幸せ、なるべくたくさん集めよう